1999/ 7/30
2000/ 8/25
文字の作成用に3つのツールボタンが用意されています。
1つ目はこれ。コマンドは「TEXT」です。
入力はコマンドラインで行います。入力を確定するまで、作図ウィンドウには表示されません。
文字を入力して、確定のリターンを押すと、コマンドが終了します。
このコマンドはメニューにはありません。
古いタイプのコマンドなので、現行バージョンでは必要ないという判断なのだと思います。
AutoCAD2000/LT2000 ではこのコマンドはなくなりました。TEXTコマンドを使用してもエラーにはならずに次に説明するDTEXTコマンドが呼び出されます。
2つ目はこれ。コマンドは「DTEXT」です。
ダイナミックテキストというコマンドです。
ダイナミックとは動的と言うことですね。コマンドラインで入力した文字が、リアルタイムで作図ウィンドウにも表示されます。
確定のリターンを押してもコマンドは終了せずに、改行して次の入力が連続して行えます。
改行して何も入力せずに、もう一度リターンを押すと、コマンドが終了します。
複数行を連続して入力しても、文字通り1行1行バラバラになります。
メニューでは「一行文字」となっています。AutoCAD2000/LT2000 ではメニューも「ダイナミックテキスト」になりました。
3つ目はこれ。コマンドは「MTEXT」です。
メニューでは「マルチテキスト」です。
マルチテキストは、図形ツールやCGソフトなどのテキストボックスのようなものです。
まずボックスを作り、その中にテキストを書き込みます。
テキストは一行文字のように、コマンドラインから入力するのではなく、専用のエディターが起動し、そこで入力することになります。
「初期化中です」というメッセージが出て、少々待たされるのはエディターが起動中ということです。
寸法文字も今のバージョンでは、マルチテキストになっています。
マルチテキストは改行しても、複数行をまとめて1つとして扱ってくれます。まさに、テキストボックスのようですね。
マルチテキストを分解すると、ダイナミックテキストになります。改行があった場合、1行1行バラバラになります。
オブジェクト編集でマルチテキストを選ぶと、「方向」というボックスがあります。(AutoCAD2000/LT2000 ではプロパティウィンドウです)
縦書き、横書きは文字スタイルの設定が適用されるのが通常ですが、同じ文字スタイルであっても方向だけ変えたいときに使います。
マルチテキストは最初にボックスを作らなくてはならなかったり、入力後もボックスの枠が残っているので、どうも使いづらい気がします。
また、せっかちな私は、エディターが起動するまで待たされるのは不快です。
マルチテキストのボックスの幅を0にしてしまうと、グリップが1つになって、ダイナミックテキスト的に使えるようになります。
MTEXT の代わりに頭にハイフォンの付いた -MTEXT というコマンドを使うと、入力もコマンドラインからになって、ダイナミックテキストとほとんど同じになります。
そこで、ツールボタンのマクロを次のように書き換えるか、書き換えに抵抗があるなら、新たにボタンを作りましょう。これで、いちいちボックスを作る必要がなくなります。
^C^C_-mtext \H \R \J;BL;W;@;
このマクロは、高さ(H)と文字の回転(R)を聞いてきます。位置合わせ(J)は左下(BL)、ボックスの幅(W)は@で0になります。
BL の部分を変えると、文字の挿入位置を右下や中央にするマクロになります。
ダイナミックテキストにはないマルチテキストだけの機能として、書式を設定できるという機能があります。
文字列中の特定の文字だけ色やフォントを変えることができますし、上付き、下付きもできます。詳しくは「上付き文字や文字間隔の調整」をご覧下さい。
ところが、この便利な機能も通常の入力(フルエディター)では機能しません。
LT97なら一旦入力したあとで「オブジェクト編集」のダイアログで書式を修正できます。フルエディターではだめです。
AutoCAD2000/LT2000では、「オブジェクト編集」ダイアログがなくなってしまったので、-mtextコマンドでダイアログを使わずに入力するしかありません。
でも、この方法では修正ができないので、メモ帳などのエディターをフルエディターの代わりに使うという手もあります。マルチテキストの入力は、フルエディターを使わずに、ユーザーの好みで、メモ帳などの別のエディターを指定することができるようになっています。
実際に試してみたい人のために、マルチテキストエディターの変更方法を書いておきます。
現在指定されているエディターは、MTEXTED という変数に保管されています。
これを変更するには、MTEXTED とタイプします。
メモ帳を指定するために、
C:/WINDOWS/NOTEPAD.EXE
とタイプし、リターンです。
これは、メモ帳本体の場所をフルパスで指定している訳です。メモ帳のプログラム名はNOTEPAD.EXE、WINDOWSフォルダの中に直接入っています。恐らく、ほどんどの人はこれでいいと思います。
スラッシュ(/)はディレクトリの区切りです。MS-DOSではディレクトリの区切りは「\」のはずなのに変ですね。
AutoCADでは「\」は違う意味に使っているので、ディレクトリの区切りに使うことができないというのが理由です。
インターネットの世界でも、スラッシュはディレクトリを表します。
インターネットはUNIXというOSで始められた関係で、ディレクトリ記号はUNIXの仕様であるスラッシュが使われています。
これでMTEXTを実行するとフルエディターではなくメモ帳が起動するようになります。言わばメモ帳はAutoCADの下請けとして起動したようなものです。
「OK」ボタンや「閉じる」ボタンがないので、初めはどうしたらいいか分からなくなりましたが、一応これでも使えます。
入力や修正が終わったらメニューから「上書き保存」を選びます。どこに保存されるのか心配ですが、実際にディスクに保存するのではなく、元請けに納品するだけのようです。
「閉じる」ボタンがないのでクローズドボックスをクリックしてメモ帳を閉じます。
さて、文字記入にメモ帳を使う方法が分かったところで、元に戻しておきましょう。
元のフルエディターに戻すには、もう一度 MTEXTED とタイプし、何も指定しないという意味のピリオド(.)を入力します。
LT2000ではMTEXTED変数を直接変更しなくてもダイアログから変更ができます。
「ツール」メニューの「オプション...」で表示されるオプションダイアログの「ファイル」タブをクリックします。その中に「テキストエディタアプリケーション」という項目があります。
ここに使いたいテキストエディタのファイル名をフルパスで書き込んでください。この時はディレクトリの区切りに「\」が使えます。
パスが分からなければ、「参照」ボタンがありますので、それを押してダイアログからファイルを選択することもできます。